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第11章 オンルッカー……？

　結果として――。


　俺って……最悪……だろ。


　黒木はその時の己の心情を、そのように表すしかなかったのだろう。

　冷めていた気持ちが次第に熱を帯び始めていたのは、わかっていた。しかし、それを感じた時には、もう一気に駆け上がってゆくものを止められなかった。

　サラの未熟な手つきにも関わらず、あっさりと射精にまで導かれてしまっていること。

　そうして自覚させられたのは、過去から届けられ自らの肌身に染み込んでしまった面倒この上ない“負のギフト”である。そんなものを改めて、厄介なものとして突きつけられた。

　そんな自分を只々、情けないのだと思うしかなかったのだ。

　なにしろ、たった今、その現象をほど近くで目撃したサラは――


「……」


　既に自分の手の中で果てた黒木の男性自身を見つめ、言葉もなく呆然としているではないか。

　誰よりも、このような痴態を見せたくなかった相手である。いかにそのコンプレックスを言葉では承知していたとしても、今のサラの心中を察しようとすれば、それは怖かった。

　きっと、幻滅しているのではないか。そうではなくとも、少なからず不安を感じたはずだ――と。


　やはり、俺には無理だ……。


　自らの醜態を呪い、そう挫けてしまう寸前であったからこそ。


「わ、悪い……」


　黒木はそれ以外に、言葉が見つけられなかった。