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【Onlooker】~サラが見たもの~
第2章 ラブリーな、彼女?
うわっ……イ、イケメンさんだ……!
サラは内心で、その率直で端的な第一印象と共に、胸にトキメキに似た感情を抱いた。
それに加え「お嬢さん」と呼称されたことだけで、心臓がバクバクと脈打つ。田舎育ちの自分には、敷居の高い呼ばれ方だった。
そのイケメンさんの歳の頃は、二十代後半くらいだろうか。包み込むような優しい笑顔は、とても安らぎを覚えさせてくれる。
落ち着いた大人のゆとりを、全身に纏っているように思えた。涼しげな瞳と真っ直ぐに通った鼻筋。笑みを携えた口元から覗く、歯並びのよい白い歯がとても印象的だ。
呆然とそんな造詣に見惚れていると、そのイケメンは歩を進めてエレベータの中へ。
咄嗟に横に避けることができず、サラは後ずさりすると、やはりエレベーターの中に逆戻り。
その時に――
「あっ……!」
サラは僅かな段差に踵をぶつけ、バランスを崩し尻餅をつきそうになった。
「掴まって」
「はいっ……!」
転びそうになったサラに手を差し出し、転びそうな身体をイケメンさんが支えてくれた。その刹那なんとも表現のし難いいい香りが鼻腔をつき、サラの頭の中はぼうっとして空虚と化した。
「さ、立てるかな?」
「え、ええ……ありがとう、ございます」
手を借り、自分の足で立つと、サラは丁寧に頭を下げた。
だが――
「あれ、君はもしかして――」
「え……?」
――ドクン!
サラの心臓が、また一段と強く脈打っていた。