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【Onlooker】~サラが見たもの~
第2章 ラブリーな、彼女?
その類い稀なるイケメンパワーに気圧され、というべきか。気がつけばサラは、再び後ずさりをしている。
そうして期せずして背を壁に着けた時に、間髪を入れず頭の上辺りの壁に彼はそっと手をついた。
まるでサラの小柄な身体を包み込むようにして、その整った顔がサラをじっと見下ろしている。
「あ、あのぉ……?」
人生史上初となる、壁ドン(ソフトヴァージョン)にうっとりと胸を焦がしながら、サラは上目づかいに彼の意図を窺っている。
すると――
「君のその瞳、とても綺麗だね」
「そ、そんな……」
「確かに……よく似ている」
「え……?」
鼻先が触れ合いそうな距離で見つめられ、このままキスされるのかと思った。サラの頭の中は、既に冷静な思考ができない。
しかし、そこへ――。
「なにを、しているのかしら」
割って入っていたのは、聞き覚えのある艶やかな声。
オンルッカー社長・紅谷零子だ。
サラは男の肩越しに、エレベーターの外に仁王立ちする、その姿を確認していた。