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【Onlooker】~サラが見たもの~
第11章 オンルッカー……?
※ ※
「どうして、急にお金が必要になったの?」
【Onlooker】の事務所を初めて訪れた時に、面接を受け紅谷零子にそう問われていた。
「えっと、それは――」
宙に視線を投げだし、その理由を淡々と語った後で、零子は驚いたような顔でサラの顔を見返していた。
「待って。貴女……それで平気?」
「え……?」
その時は、どうしてそんな風に心配されたのか、よくわからなかったけれど。
今になって考えてみれば、わかる。だぶん既に零子は気づいていたのだろう。頑なに無自覚を貫こうとしていた。それがこの時の、白隅サラという女の子であるのだということを。
だからこそこの後で、サラに例の約束を持ちかけたのだ。
そして、そこから遡ること数週間。全てはその時をもって、始まっていたのである。