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【Onlooker】~サラが見たもの~
第11章 オンルッカー……?
「ああん、もう……びしょ濡れじゃん」
七月に入ったばかりの、とある日の夕方。専門学校からの帰り道で突然の雷雨に降られたサラは、衣服を濡らしながらもなんとかアパートの部屋に逃げ込んでいたのだった。
とりあえず濡れた服を脱ぎそれらを洗濯機に放り込むと、サラはすぐにシャワーを浴びた。シャワーを終えた後、タオルで髪を拭きながら一息をつき、何の気なしにテレビをつけた。
その時に耳に入ってきたのは、興奮気味に捲し立てる、記者らしき男性の言葉。
『丸二日に渡り降り続いた記録的な豪雨によって、N県A村の山間部に面する集落の区域では激しい土砂崩落に見舞われております。幾つもの民家が押し寄せてきた土砂によって全壊、または半壊――そのような事態を受け、まずは避難が遅れた住民の有無の確認が急がれています』
えっ……?
サラは立ち尽くしたまま暫く、豪雨災害を報じるテレビの前から微動だにできなくなっていた。