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【Onlooker】~サラが見たもの~
第11章 オンルッカー……?
その後でサラは携帯を片手に、必死な顔をして幾つもの電話をかけ続けることとなった。
そうせずにはいられない理由がある。それはニュースで伝えられていた土砂崩落に見舞われた地区が、サラの実家にほど近い場所であったから――。
「もう……どうして?」
一向に繋がってくれない電話の向こう側に心を奪われ、サラの焦りが募っていった。だが、心当たりの番号を当たり続けて、ようやくのこと――。
『サラ……なのかい?』
疲れを感じさせてはいたが、それは紛れもなくサラの祖父の声。電話越しにその声を耳にして、サラの小さな胸を一定の安堵が満たしてゆく。
「おじいちゃん……よかった。おばあちゃんも一緒なのね?」
『ああ、今も横にいるよ。サラが通っていた小学校が、避難所になっているんだ』
「そっか……」
――しかし、ほっと胸を撫で下ろすも、束の間のことだった。
「じゃあ――お父さんとお母さんも、一緒に避難所に居るのね。さっきから携帯が繋がらなくって、ずっと心配してたんだから」
少し怒ったようにそんなことを口にしたサラにしてみたら、一刻も早く安心をしたかったに違いない。口を尖らせたまま、続け様にこんな風に言った。
「どうせお父さんのことだから、畑仕事の時と同じで携帯を家に置きっぱなしにしてるんでしょう? まったく――携帯しなきゃ携帯電話の意味なんてないんだから」
は、早く……。
文句を漏らしながらも、サラの気持ちが頻りと急いた。