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【Onlooker】~サラが見たもの~
第11章 オンルッカー……?

 ねえ、早く声を聞かせて――!


 この後で、きっと――電話を代わった父が「ああ、サラか? 心配させてすまなかったな。焦って避難したものだから、携帯を持って出るのをすっかり忘れてたよ」なんて、いつもみたいにとぼけた口調で言うはずなんだ、と。

 あるいは――母の優しい声音が「大丈夫よ、サラ。みんな無事だから、心配しないで頂戴」と、心の底からサラを安心させてくれるのだろう、と。

 だのに――


「それが……なあ、サラ」


 祖父は決して両親と電話を代わることはなくって、孫の名を呼ぶその声に力が無くなってゆくものだから、サラの嫌な予感はどんどんと膨らむ一方になる。

 そうして――


「えっ……?」


 電話の向こうの祖父の声が、サラにその真実を伝えることとなるのだった。


「そんなの……嘘、でしょ……?」


 呆然とした顔でそう呟くしかなった、サラの心は――突きつけられた真実を、懸命に歪めようと無意識に努めた――それが後の影響をもたらしたものなのか?


 それは、知れない――。


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