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【Onlooker】~サラが見たもの~
第11章 オンルッカー……?

    ※    ※



 幾つもの場面を振り返って、閉ざしていた心をひとつひとつ取り戻しながら――



「ああっ――!」



 サラはベッドの中で、激しく乱れつつあった。


 現在――自分の感覚中での、セックスという行為――それが、痛みなのか熱なのか、あるいは快感に変わりつつあるものなのか。それを表す術は、まるで見当がつかない。

 只、ひとつだけ言えること――言い切れることがあるとすれば、それは――。



「んっ――ふぅ、あぁぁ!」



 今、感じる、これが――至極“確かである”ということ、だった。

 白隅サラは女として、黒木俊太の男を迎え尽くしている。

 行く末もないほどの高まりの最中で、深く交わっていたのだ。

 それを“確か”と感じることができることが、今のサラにとって何よりも大事なことなのだろう。

 知らず知らず感情を殺し続け、それを他人事のように傍観してきた。しかし、たとえどんなに望まないことであっても、その際に生じた”想いたち”も大切な心の一部には違いあるまい。

 だからこそ、それを失ったまま生きてみても、幸せを探すことは叶わないのだ。

 サラは、ようやく全ての”想いたち”を取り戻して今、正しく自分の心の形を見据え――否、あるがままに感じていた。

 そうした時、堰を切ったようにして押し寄せていたものは、当然――それは大いなる悲痛であるのは避けられないこと。

 サラが受け止めずにいた故に、闇の奥深くにある”見えざる壁”に幾重にも反射し増幅し続けたその塊は、“受け止めてあげられなかった”というサラの自責に合わさると、途方もない怨念に成り代ろうとしていたのである。

 だから――
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