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【Onlooker】~サラが見たもの~
第11章 オンルッカー……?
その巨大な怨念に似た想いを、とても一人では受け止めきれない。わかっていたからこそ、サラは黒木との交叉を欲した。
彼に抱かれることで、心身ともに強い支えを求めたのだ。
「あっ、ああ……わ、私……!」
「どうか、したのか?」
「ご、ごめん……ごめんね……俊くん」
「どうして、謝る?」
ぎゅっと閉ざしていたままだった視界を開くと、サラは一心に黒木を見つめる。
「私は今、俊くんに、抱かれていて……それは、嬉しいと思うのに……そのはずなのに……」
「なのに?」
「なのにね……どんどん哀しくなってきて、溜まらないよぉ……」
黒木を映す大きな瞳をゆらりと潤ませると、サラは黒木に縋るようにして言う。
「私……わたし、は……?」
すると――
すぐ上から、その顔を真っすぐに見つめ返した黒木は「ふう……」と小さなため息を吐き――その後で。
「お前が哀しいんなら、遠慮なんかいらねーよ」
「俊……くん?」
「俺が見ててやる。ほら――気が済むまで、思いっ切り泣けよ」
今までに見せたことのないとても安らかな顔で、黒木は言った。
それを指針とするように、サラは直後には止めどない涙を一気に溢れさせた。
「ううっ……うわああっ! うわああぁぁん!」
それは、不思議であり裏腹なこと――。
サラは哀しみの涙を流しただけ、安らかな安堵に包まれてゆくような気がしていた。