この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
【Onlooker】~サラが見たもの~
第12章 エピローグ
「そこまで言うんだったら、さあ――」
こめかみの血管をぴくぴくとさせながら、フードの女にこう迫った。
「――その顔、拝ませてまらうから」
「うん、いいよー」
女は事も無げにそう言って、勢い顔を覆っていたフードを取り去る――
――と!
「――!?」
それを目の当たりにしたカップルの二人は、ぎょっとして顔色を変えた。
それも、そのはず――であろう。
ふわっと広がった伸び放題でありながら艶やかなブロンドの髪、そこから覗く青色の右目、それらとマッチするように一様に焼かれた小麦色の肌。
そういった本来なら最も目立つ要素を片隅に追いやるように、今の女の最大の特徴といったら、それは“ダメージ”に他ならない。
顔の半分を覆い隠す髪を、かき上げる左手。その五本の指と手首には、包帯がぐるぐる巻き。髪の下から現れるはずの左目には、黒く禍々しいイメージの眼帯が装着されていた。
高々と尖っているであろう鼻先は、しかし、ガッチリとしたギプスで固定している。その他にも頬と顎と至る所に、痛々しい青あざが……。
その姿は以前と比べ、あまりにも異なっている。が、身体の至る所に大きなダメージを負いながらも、そのメンタルは些かも変わずに――。
この女の名を――咲花、という。