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【Onlooker】~サラが見たもの~
第12章 エピローグ

「そこまで言うんだったら、さあ――」


 こめかみの血管をぴくぴくとさせながら、フードの女にこう迫った。


「――その顔、拝ませてまらうから」

「うん、いいよー」


 女は事も無げにそう言って、勢い顔を覆っていたフードを取り去る――

 ――と!


「――!?」


 それを目の当たりにしたカップルの二人は、ぎょっとして顔色を変えた。

 それも、そのはず――であろう。

 ふわっと広がった伸び放題でありながら艶やかなブロンドの髪、そこから覗く青色の右目、それらとマッチするように一様に焼かれた小麦色の肌。

 そういった本来なら最も目立つ要素を片隅に追いやるように、今の女の最大の特徴といったら、それは“ダメージ”に他ならない。

 顔の半分を覆い隠す髪を、かき上げる左手。その五本の指と手首には、包帯がぐるぐる巻き。髪の下から現れるはずの左目には、黒く禍々しいイメージの眼帯が装着されていた。

 高々と尖っているであろう鼻先は、しかし、ガッチリとしたギプスで固定している。その他にも頬と顎と至る所に、痛々しい青あざが……。

 その姿は以前と比べ、あまりにも異なっている。が、身体の至る所に大きなダメージを負いながらも、そのメンタルは些かも変わずに――。


 この女の名を――咲花、という。

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