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【Onlooker】~サラが見たもの~
第2章 ラブリーな、彼女?

 そんな仕草を、また黒木に見られてしまった。


「なんだよ。また代えのパンツが必要か?」


 その明らかなからかい口調に、サラはムッとした。


「そんなわけありません! この前は、その……零子さんが意地悪しただけで」

「どっちにしろ、パンツびちょびちょにしたんだろ? なあ、おもらし女」


 黒木のにやけた顔に、サラはぷっと頬を膨らませた。

 なんなの、コイツ……。マジで、あったまにきたぁ!

 黒木はまだ笑っている。それを見て、サラの頭に血が昇った。そうした時、ふと思い浮かんだ単語を、サラは思わず口にしてしまう。


「笑うのをやめなさいよ! この早漏!」


 この前、零子から黒木が「極度の早漏」であると聞かせれていた。その後、何気にスマホで意味は調べたから、大体の処は承知している。

 その上でそう言ってしまったのは、自分がついカッとなっていたからであって。

 だが、その直後――黒木のハンドルを握る手が、プルプルと小刻みに震えるのを見ると――。


 あれ、ヤバかったかも……。


 サラは少し、後悔した。そして、案の定。


「お前……今、なんつった?」


 ゆらありと、後部座席を睨み付ける黒木。


「ちょっと、前……お願いだから、前を見て運転してください」

「いい度胸してるよなあ」

「きゃあ! ほら、車! 運転中ですから!」

「やかましい!」


 右に左に大きく蛇行する車の中で、サラはもう二度と黒木に「早漏」と言うのは止めようと決意していた。


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