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【Onlooker】~サラが見たもの~
第2章 ラブリーな、彼女?

「ふう……」

 額の冷や汗をそっと拭いながら、サラが小さくため息をつく。


「ごめんなさいごめんなさいごめんなさい! マジで反省してます! もう、二度と申しませんからっ!」


 命からがら必死になって『失言』を謝罪。興奮する黒木をなんとか宥めつけ、ようやく車中も落ち着きを取り戻していた。

 黒木は不機嫌そうに無言であったが、とりあえず前を見て運転してくれているから、それ以上を望むべくもない。それにしても――

 早漏って――男の人にとって、そんなにもコンプレックスなのかな?

 サラはふと、後部座席から黒木の後姿を見つめ、そんな風に思った。


「オイ」

「うっ、なにか……?」


 いきなり声をかけられ、サラはビクリとする。


「お前って、なんか悩みとかあるわけ?」

「は? どうして、急にそんなことを?」


 突然そんなことを訊かれ不思議そうにする更に、黒木は続けてこんなことを話した。


「好みなのかしんねーけど。社長が雇い入れる人間は、大抵は心に闇を抱えてるつーか……。そんな女たちが多いんだよ」

「それって、私と同じオンルッカー? やっぱり、他にもいるんですよね」

「そんなの、当たり前だろうが」

「そ、そりゃそうだけど。だったら、私、会ってみたいかも。同じ年頃の娘がいたら、友達になりたいし」

「友達だぁ? バーカ。そんなの無理に決まってんだろ」

「えっ、なんでですか?」

「チッ……社長に言われてんだろ。お前には、守秘義務があるんだよ」

「あっ! そっか……」


 前回の研修時に零子に言われたオンルッカーの仕事の胆は『見る』『知る』『秘める』の三点セット。黒木が言っているのは、その内の『秘める』の部分なのだ。

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