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【Onlooker】~サラが見たもの~
第2章 ラブリーな、彼女?

 すなわち――同じ立場のオンルッカー同士で気を許し合う関係になると互いに口が緩み、顧客の情報を漏えいする危険が生じる、ということなのだろう。そんなことを危惧する故に、端からオンルッカー同士の面識を持たせないようにしているのだ。


「ふーん……残念だけど、仕方ないのか」


 そう言ってがっかりするサラをムームミラーでチラ見し、黒木はやれやれとため息をつく。


「あーあ、やっぱお前には悩みとかなさそうだわ。友達とか能天気そうなこと言って……こんな女、なんで社長は雇ったんだよ。ま、単なる気まぐれだろうけど」

「な、なんですか、それ! 黒木さんに、私のなにがわかるっていうんですか。私だって、生活費や学費を――」

「ああ、ハイハイ。金が必要なのは、誰しも同じだからな」

「ああん、もう……」


 ムカつくムカつく! この早漏男!


 サラは内心でNGワードを奏でることで、なんとか怒りを鎮めようとした。

 そんなことを話す内に、窓から見える景色が随分と様変わりしていることに気づく。都心から環状線を進み、細い道を幾つか折れ閑静な住宅街に入っていた。


「あの、まだ遠いんですか? その……今日の現場?」

「そろそろだ。だから、そうだな。今日の客のこと、少し教えといてやるよ」

「はい……お願いします」

「言っとくが、あのイケメンじゃねーから」

「それは、もうわかりましたよ! で――一体、どんなお客なんですか?」


 またからかわれるのは、うんざりである。そう感じたサラは、急かすようにその説明を促した。

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