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【Onlooker】~サラが見たもの~
第2章 ラブリーな、彼女?
※ ※
「あの女、大丈夫かねぇ? ま、別に心配するわけじゃねーけど……」
あまり人通りのない道端を選び、路駐しているベンツ。そのリクライニングさせたシートに深々と寝そべり、黒木は欠伸交じりに呟いた。
オンルッカーの送迎と補佐と、そして一応は警護役(ボディーガード)。それが、この黒木という男に与えられた仕事だ。
サラ以外にも何人か所属する他のオンルッカーに対しても、同様のことを行っている。それ故、パートナーを代わる代わる連れ立ち、一日平均にして三件ほどの現場に赴くことになるのだった。
そうは言ってみても、オンルッカーを顧客に届けてしまえば、あとすることといったら待つことだけである。さっきサラに話していた通り、彼女の身に危険が及ぶことに対して神経を尖らせる必要があるとはいえ、そんなケースはやはり稀だ。
よって大概は、こうして車の中で居眠り半分に時間を過ごすことが多かった。それに加え、オンルッカーの派遣には特に時間制限が設けられていない。すなわち、その行為が終わるまでは、しかと見届ける必要があるのだ。
「それにしても、あんな普通そうな女が、どうしてまた?」
目を閉じながら、ふと自問した。