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【Onlooker】~サラが見たもの~
第2章 ラブリーな、彼女?
さっきサラにも少し同様のことを話していたが、黒木がそう感じたのは他のオンルッカーと比較してのこと。大体はその日常に問題を抱えている者が、零子に拾われるようにして迎えられることが多かった。
今までは、そう。そして同様のことは、自分にも当てはまるのである。
黒木は日本一有名な繁華街のキャバクラでボーイとして働いていた前歴があった。そこで店のナンバーワンのキャストとの間にトラブルが発覚し、結果として店を追われている。
そう話せばただ単に退店しただけに聞こえようが、実際はそんな生易しいものではなかった。店のバックにいる組関係の怖い男達に、落とし前をつけられそうになった。
屈強な男達に囲まれ、黒木はこんな風に迫られたのだ。
「指の何本かでも、落としてもらおうか」
正直、生きた心地がしなかった。だが、そんな場面に偶然に出くわし、組の上層部との間に入ってくれたのが――オンルッカー社長・紅谷零子だった。
零子については謎な部分が多く、一体どのような経緯からオンルッカーを立ち上げたのか、またどうしてそんなにも顔が利くのか、共に不明である。
しかし、少なくとも恩を感じるからこそ、黒木は零子の下で働くことを決めたのだ。