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【Onlooker】~サラが見たもの~
第2章 ラブリーな、彼女?
他のオンルッカーたちもそれぞれに事情があり、何処か横顔に影を宿してる者たちである。それなのに、あの白隅サラときたら。金に困ってるということだが、それにしたってまるで悲壮感がない。
寧ろ、無邪気でお気楽にすら思えてしまう。そんな女を零子が雇い入れたのも、不思議だと感じた。
「ん?」
携帯が鳴った。零子からである。
「はい」
「どう? サラちゃんの様子は」
「今、届けたところっすよ」
「そう」
「でも、社長――ヤマダさんとこ、本当にあの女でよかったんすか?」
「どうしてそう思うの」
「いや、驚くんじゃね―のかなって」
「あら、心配してあげるのね? フフ、なんだか妬けちゃうわ」
「そ、そんなんじゃねーっすけど……アイツ、なんか普通だし。それに、初仕事だから」
「そうね。ウフフ、きっと驚くでしょ」
「社長……もしかして、面白がってるんすか?」
「まあ、それもあるけど。でもね、今のヤマダさんには、たぶんサラちゃんが調度いいと思うの」
「はあ……それはまた、なんで?」
「なんとなくだけど。まあ、今にわかるわよ」
と、そこで終話。
ホントに、大丈夫かよ……。
やはり少し不安を覚え、黒木がマンションを見上げた。