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【Onlooker】~サラが見たもの~
第2章 ラブリーな、彼女?
※ ※
「エリー……さん?」
その存在に唖然として、思わずサラが呟く。
「なんだ――文句でも、あるのか」
その反応を不快に感じたように、眼鏡の奥のヤマダの目が鋭く光った。
「あ、いえいえ……そんなことは、ありません」
サラは慌てて、両手を振り向けられた疑念を振り払おうとする。
とにかく、お仕事を……。
サラは自らに言い聞かせ、深呼吸をひとつ。そうしてから――
「あの……私はオンルッカーで……その、スマホとか、そういうのは一切、持ってきていませんし……それは、えっと……ちゃんとこの目で、見るという意味で……とりあえず、そんな感じなので、それを初めに、お誓い申し上げます」
「……」
この前の零子に倣い、オンルッカーとしての前口上を述べたつもりだったが、酷くたどたどしいものになってしまった。そんなサラを、ヤマダが冷ややかに一瞥する。
ああん、私、どうしたら?
サラは居心地の悪そうに、寝室の出入り口付近に佇む。その眼差しが見守る先で――。
「さ、エリー。僕たちの愛を、見せつけてあげようか」
ヤマダは『エリー』の耳元でそんな風に囁くと、その身体をとても慎重に両腕で抱え上げた。そうしてから、手足が椅子やベッドの角にぶつけぬよう、最新の注意を払いながらベッドの上に寝かしつけた。