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【Onlooker】~サラが見たもの~
第2章 ラブリーな、彼女?
その様子を目撃したサラは、エリーの身体がマネキンなどとはまるで違って、とても柔軟な質感であることを感じる。上品に椅子に腰掛けていた姿勢から、今は自然な寝姿を以って白いシーツの上にその身を横たえていた。
どうやらその手足は、かなり自由に可動するようであって。だが、なによりもヤマダの扱いが丁寧であり巧みなことから、ほとんどその体勢の変化にぎこちなさを覚えることはなかった。
「そこで、見ていたまえ」
「は、はい……!」
そう返事をしたサラは、ヤマダが指差した(エリーの座っていた)椅子に腰掛けようとした――が。
「それじゃない――その後ろの!」
「え? え? ああ……!」
そうきつめに言われ、サラは慌ててアンティークの椅子の影にあった、背もたれのない丸椅子を見つけ、それをベッドの前に引き寄せると、そこに座った。
「すみません……」
ベッドの二人(?)を前にして、ポツンと一人佇む。この前と異なり、決して広くない寝室では、とにかく距離が近い。そんな環境が却って、なんとも言い様もなく疎外感を煽り、孤独で心細い気がした。
しかし当然ながら、そう感じる理由は、そればかりではなくて――。
寝室の中はベッドのベッドボードにある、スタンドの間接照明がゆらりとした光を灯すのみ。
それに照らされた完璧に整った美しい表情が、俄かに陰影を落としている、彼女――エリーは、とても憂いたように映った。