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【Onlooker】~サラが見たもの~
第2章 ラブリーな、彼女?
ヤマダはゆっくりと上体を起こし、サラの方に向き直って言う。
「だったら正く取るべき反応を教えてやろう。『人形』を愛する哀れな男など、思いきり蔑めばいいんだ」
「え?」
あれほどまでに真摯にエリーを愛でていたヤマダが、それを『人形』と呼んだことに対し、サラは違和感を覚えた。
だが、更に――ヤマダは苛立ちを隠さずに。
「汚いものでも見るような蔑んだ視線こそ、俺とエリーが求めるものだ」
「で、でも……」
「いい子ぶらずに、素直になればいい」
「そ、そんな……私が、どうして?」
別に、いい子ぶってなんか……。
そう感じながらも、本心は上手く伝えられない。そんな焦りを感じるサラに、ヤマダは説いた。
「決して他人の理解が及ばぬと――そう実感するほどに、俺たちの愛が次元を超えて尊いものへと昇華してゆくことになる。アンタの眼差しは、そのための単なる媒介だ。だから、なんの遠慮もいらない。――軽蔑しろ! 見下せ! 蔑みつくせ!」
「わ、私……」
そんな風に、できないよ。だって、エリーさんのことホントに綺麗だと……。
そう思いながら、それを口にするのは憚られた。そんな自分はヤマダの言うように、いい子ぶってるというのか――?
サラが只々、困り果てていると――。
「帰れ……」
「――!?」
「仕方なかろう。役割を全うできないというなら、さっさと帰ってしまえ!」
ヤマダは冷たく、言い放っていた。