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【Onlooker】~サラが見たもの~
第2章 ラブリーな、彼女?
「単に顔やスタイルがどうとか、そういうことだけじゃないんです」
サラはそう切りだし、思う処を続けて話した。
「髪はウイッグなのかな? 艶やかな黒髪は一本の解れもなくって、櫛が丁寧に入れられているのがわかりました。しなやかな指先には、爪の一つ一つに可愛いネールがあしらわれていたし。あれだって、たぶんヤマダさんがご自身で手入れしてるんですよね」
サラは自分のシンプルな指先を見つめながら、言う。
「あとは――顔のメークや身体の肌艶だって、何処にも擦れたりくすんだりするところがなくて。たとえ人形だって手をかけなければ、あんな風に綺麗に保てないと思うんです。服装やアクセサリーだって、それぞれとても繊細に考えられていて――」
「……」
「ああ、この人って、ホントにエリーさんを愛してるんだ。そう感じていたから、私……それを気持ち悪いなんて、どうしても思えなかったんです」
「そう。よく、わかったわ」
「あの、零子さん。私……?」
「ご苦労様。今日はもう、帰りなさい」
想いを話したサラの顔を、何故だか零子は満足そうに見つめていた。