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【Onlooker】~サラが見たもの~
第2章 ラブリーな、彼女?
※ ※
それから五日くらいを、アパートの部屋でなんとなく過ごした。まだ学校の方は夏季休暇中だが、休み明けにはレポートの提出も数件ある。
だらだらと過ごしてるわけにも、いかないはずであるが。
「あーあ、もう……」
サラはベッドの中に、その小柄な身体を丸めていた。
「なにしてるのよ。私……」
あれ以来【Onlooker】からの連絡はなかった。もう、首なのかもしれない。日が経つにつれ、そんな想いが大きくなると、眠れない夜が続いた。
なにもする気が起きずに、昼になっても気怠い身体を、只々横たえているだけ……。
零子との『約束』により、後期分の学費を用立ててもらった。既に納入したから、とりあえず本年度中も講義を受ける目処は立った。
しかしそれだけに、ヤマダにキャンセルをされて以来、仕事が入らないことに焦りを感じずにはいられないのだろう。
「見るだけのお仕事……なのに、私にはそれだってできない……なんてさ」
ゴロリと仰向けになり、天井を見つめ、自虐的な言葉を発する。そんなの自分らしくないと思い奮起しようとするが。
私らしさって、なんだっけ……?
ふと、そう自問するサラの胸に、一気にある強大な想いが去来しようとした。が、そのタイミングで、サラのスマホが着信を告げる。
「はい……?」
「すぐ用意しろ」
「え?」
「寝ぼけてんのか。仕事だよ」
相変わらずのぶっきらぼうな黒木の言葉。だが、この時のサラは――
「わ、わかりました!」
少しだけ嬉しそうな返事。
ベッドから身を起こすと、すぐに支度に取り掛かった。