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【Onlooker】~サラが見たもの~
第2章 ラブリーな、彼女?
「……」
サラの住むアパートまで迎えに来た黒木。その運転するベンツに乗り込み、サラは緊張を顕にしている。
仕事を振られたことは、大いに嬉しい。が、上手くできるのかな、と不安な弱気が頭を擡げた。
そんな風に何処か焦れて、サラは黒木に訊ねる。
「あの……今日のクライアントは、どんな人ですか?」
すると――
「ああ、それなんだが――」
珍しく黒木はやや言い淀み、その後で意外なことをサラに告げる。
「この前と同じ――ヤマダさんだよ」
「ど、どうして? だって、私はヤマダさんから――」
「指名されたんだよ――お前」
「えっ……?」
意味がわからない。この前、気に入らないからとキャンセルを告げたのは、ヤマダ自身。それなのに何故、今度は改めてサラを指名しているのか?
そんなことで頭を悩ませる内に、車は既にヤマダのマンションに到着しようとしていた。
「ホントに、私で……大丈夫、なのかな?」
つい口をついた、独り言。それを耳にした黒木が、ポツリと言った。
「さあな……なにせ、俺たちの周囲は変わり者だらけ。ま、なるようになんだろ」
黒木のそんな言葉を、何気に聞き届けて。
「……」
不安な気持ちを抱えたまま、サラは再びヤマダとエリーの待つマンションへと向かって行くのだった。