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【Onlooker】~サラが見たもの~
第2章 ラブリーな、彼女?
「……」
サラはそこまでを聞いて、エリーとの『別れ』に至るその心情の一端を理解した。
ヤマダは、しみじみと語ってゆく。
「この前、君を前にして居た堪れない気持ちになったのは、おそらく君が、彼女と似ていたからだと思う」
「私と……似てる?」
「いいや、もちろん外見的なことじゃない。強いて言うなれば、その素朴とも思える眼差しに近い物ものを感じただけ……。しかし、そうなった時、急に居心地が悪くなった。人形(エリー)を愛でるこの姿を、その瞳に映し取られるのが、とても怖く感じてしまったんだ……」
「それなのに、今日――この最期の夜に、どうして私を呼ばれたんですか?」
「やはり、誰かに知っておいてもらいたかった。本来ならば誰の目にも触れぬ、俺とエリーの愛の形をね……。そう願った時に、それに相応しいのは、彼女と同じ眼差しの君なのだと考えた。この様な想い、変だと思われるかもしれない。だが、その役目――どうか果たしてやってはくれまいか」
そう言って、ヤマダは頭を垂れた。その姿に、サラは彼なりの誠意を覚える。
だから――
「はい。私でよろしければ、是非」
サラはそう言って、にっこりとほほ笑んだ。