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【Onlooker】~サラが見たもの~
第2章 ラブリーな、彼女?
が、そんなサラの想いをよそに、ヤマダは既に自らの心を折ろうとする。
「君には、酷く歪んだ世界(もの)を見せてしまったな。すまない……だが、こんな最期でも君に見てもらえてよかったと思うよ。ありがとう……」
「そんな……」
シーンとした静けさだけに、包まれてしまった寝室では――。
ベッド脇の弱いスタンドの光は――
裸で項垂れる男と、
両足をはしたなく開いた人形と、
それを見守る一人だけ服を着た女の子との――
その奇妙な光景を、あぶり出していた。
このままじゃ、哀しいよ……だけど。
サラは、ベッドの上で項垂れるだけのヤマダの横顔を見つめた。
「――?」
その肩口が、カタカタと揺れていることに気づく。痩せた身体は、まるで凍てつきに堪えかねるように、次第に大きく震えていた。
それを一心に見つめて、サラはその男のデリケートな内面を知ろうと、そう試みるのだ。
エリーさんと、こんな形で別れるのが辛いの? きっと、それもあるけど。たぶん、それよりも――。
微かななにかを察して、サラはそれをヤマダにぶつけた。
「ヤマダさんは、結婚して幸せになれますか?」
「な、なに?」
「エリーさんと同じように、彼女のことを愛せますか?」
そう問われたヤマダの顔に、激しい動揺が滲んだ。
「バ、バカなことを言わないでくれ。如何に俺が変人であろうとも……エリーと生身の彼女とを、同じに考えるわけがない」
興奮と怒りを顕に、そう語気を強めるヤマダ。
その顔を、見つめて――
「本当にそれで、いいんですか?」
サラは冷ややかな口調で、言うのだった。