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【Onlooker】~サラが見たもの~
第3章 イケナイ、男(ひと)?
数分後の部屋の中は、さっきまでとはまるで違っていて――。
サラは見ず知らずの若い女と、部屋の中で取り残され形になっている。当の取り残した張本人である紺野涼は、その彼女と入れ替わるよう一時的にバスルームへと姿を消してしまった。
「……」
サラは仕方なくソファーに座ると、決して居心地がいいとは言えない、そんな時間を過ごしている。そうしながらも、すっかり浮かれてしまっていた、ほんの少し前の自分のことを激しく叱咤したくなった。
まったく……自分の立場を自覚しなさいよ!
そう。飽く迄もサラは、オンルッカーである。やるべき行いは、クライアントのセックスを『見る』ことに尽きるのだ。結局、求められていることは、それだけ。
いくら『イケメンさん』こと紺野涼に優しくされようとも、その部分を見失っては話にならない。
現に彼のこの夜の相手は、今まさしく――
「あ、そうそう」
「え?」
サラの目に前に、いた。
女は自分のために作ったウイスキーかなにかのオンザロックのグラスを片手に、サラの正面に腰を下ろした。
「零子さんは、元気にしてる?」
女が、そう訊ねてきていた。