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【Onlooker】~サラが見たもの~
第3章 イケナイ、男(ひと)?
「あ、はい……それは。でも、零子さんとお知り合いなんですか?」
「まあ、ね」
「あの、どういったご関係で?」
「そんなの、あなたに言う必要なくない?」
カランと氷を鳴らしながらグラスを傾げ、女はぐいっと酒を煽った。
「まあ、そうですけど……じゃあ、今の……紺野さん、とは?」
「アハハ! それ、もっと言う必要ないしぃ!」
「あ、はい……そうでしょうね。ええ、そうですとも……」
最後の方はもう聴こえないくらいの小声で、サラはともかく言うだけ言って。
この女(ひと)、感じ悪っ……。
その内心で悪態をつくと、改めて目の前の女の容姿を眺めた。
バスタオルを巻いたままの身体は、これぞスレンダーといった感じだ。きゅっと絞られたウエストを起点にして、女性らしい曲線を上下に描いている。
ソファーで組んだ細長い脚の奥まった箇所は、同性のサラでさえハラハラしてしまうほどギリギリ見えそうで見えない。
ふわっとゆるやかに波を打つライトブラウンの髪を自然と靡かせ、それが淡く綺麗な小麦色の肌と異様なまでにマッチしているかのよう――でもあり。
小顔で、すっきりくっきりとした目鼻立ち。それらがメークと相まって美麗な仕上がりとなっていた。
その調子で『美』を追求してゆけば、何れ簡素な『記号』となってしまうのではないか。そう思わせるほど、一つ一つのパーツの造形が完璧すぎるように感じる。
サラは期せずして、この前の『エリー』のことを、比較対象として脳裏に思い浮べていた。
しかし、当然ながら違っているのは、彼女は動いて――しかも、喋る点である。
その口が、サラに向かって言う。
「それにしても、ヘンタイだよねぇ?」