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【Onlooker】~サラが見たもの~
第3章 イケナイ、男(ひと)?
サラはベッドの側に椅子を与えられると、そこから行為に至ろうとする二人のことを見守ろうとしていた。
心は頻りに、ざわめいている。
「……」
紺野涼は、ベッドに深々と腰を下ろした。バスローブは、身に着けたまま。
そして、一見していけ好かないと感じた、その女は――紺野の前に立った。
そうして徐に、自らの身体に巻きつくバスタオルを両手で、一気に開く。
ベッド側からの照明に照らせれると、広げられたオフホワイトのタオルには、その見事なプロポーションのシルエットが描き出されていた。
クス――。
そして、女は笑う。一瞬だけ肩越しに、サラの方を眺めて。
はらりとバスタオルが舞い、床に落ちた。同時に身体をくるり反転させた女は、紺野に『抱っこ』されるように、背中からその身を委ねていった。
全裸となっても一切の斑のない、一様に綺麗な小麦色の肌。適度な大きさで形の整った胸の膨らみと、日焼けした肌に反して色素の薄いピンク色の乳首も顕とされている。
フフ――と、また女は音もなく笑うと、サラを見ていた。そうして持ち上げた左手で、すぐ背後の紺野の頬を触る。それから――
「ねえ……」
甘酸っぱいような声を鳴らし、首と身体を捻ると紺野の方に、その唇を差し出した。
「……」
サラは見て――ふと思い出す。それは、初めて会ったエレベーターの中で。『イケメンさん』が、自分に顔を近づけて――キスされるかも――と思った場面だ。
しかし、実際にはそれは単なる挨拶であり。今、実際に重ねようとする唇は、他にあって。
キスされるのは、私じゃないんだ……。
サラは漠然と、当たり前のことを思うのだ。