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隷吏たちのるつぼ
第5章  第四章 口開く陥穽
 ゴミクズのように姦してやる。

 宣言したとおり、征四郎は射精したい時に自由に使うことができる肉欲の具として何度も姦してきた。時間の感覚がなくなるまで丸一晩、スイートルームの豪奢なベッドは使われず、ソファに括られて床へ転がされたまま、好き勝手に交接を強いられ、下欲の体液を体内へ排出された。

 気がついたら、実家の車庫だった。悠香梨の車を征四郎が運転して帰ってきたのだ。

「また連絡するわ」

 そう言って、ようやく凌辱者は目の前から去っていった。

 車の中でそのまま気を失いそうになるのを何とか振り切り、ヨロヨロと自宅へ入った。朝帰りどころか昼帰りに小言を言う母親からは、オールで飲んだ不良娘がどこかで酔いを醒ました後、疲労困憊で帰ってきたように見えたのだろう。そう勘違いしてくれるのなら、それでよかった。
 自室に入ってすぐに眠ってしまった。目覚めたときには土曜が終わろうとしていた。肌のつっぱりは、メイクをしたまま寝てしまった疲弊に、涙の凝りが重なったものだ。眠ったにもかかわらず、起き抜けから全身を包み込む倦怠が、姦辱の現実味を改めて実感せしめた。

(秀之……)

 有無を言わさずとはいえ、恋人を裏切ってしまった。陵辱者の肉幹が脈動し、毒液で満たされる感覚は、いまだ生々しく下腹の奥に残っている。

 何よりも後ろめたかったのは、ローター攻めをされ、淫らな疼きを体じゅうに蔓延らせてしまったことだ。
 憎悪の相手である。
 しかし何度も心が折れ、牡茎にかき回されて、絶頂を迎えてしまった。高く掲げたW字の中心から、顔に向かって温かい潮しぶきも降ってきた。一晩の間に、あれほど性楽に狂わされたことなどない。

 秀之に相談することも、告白して許しを請うこともできない。死にたいと思った。

 だが死ねない理由があった。携帯を見ると、征四郎が早速メッセージを寄越してきていた。皮肉にも、それが悠香梨の唯一の逃げ道だった。

 ──のろのろとした足取りで、庁舎出入口の警備員にろくな挨拶もできなかった。エレベーターでフロアまで昇る。
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