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隷吏たちのるつぼ
第5章  第四章 口開く陥穽
 内ももに手を添えられて、肩幅まで開かされる。レギンスを履いてきたのは、この衣裳を少しでも隠したかったことに加え、吸水性のないショーツの密面から、両側へ溢れ出る羞恥の雫を何とかしたかったからだ。

「は、早く取ってよ……」
「何を?」
「あ、あんたが中に入れた、変なものよっ!」

 起きて身を動かすと体内に異物を埋められていることがわかった。エナメルショーツに密封されていては取り出すことはできない。だから具体的に何物かはわからない。ただ、立ち上がったり、歩いたりするだけで、表面の突起が中壁を擦ってきた。襞の一枚一枚を幾多のツノが捉え、ホテルで征四郎にバストを掴まれた時に感じた得体の知れない性楽を刷り込んでくる。

 こんな姿では、命を絶つ決心などつけようもなかった。
 携帯に届いたメッセージは、『外して欲しかったらユカリンの職場まで来い』、それだけだった。外すだけでは済まないことは明らかなのに、悠香梨は庁舎へ向かうしかなかったのである。

「……オモチャ取る前に、キスしようぜ?」

 臭い口が近づいてくる。悠香梨は真横を向き、頬に長い髪を垂らして唇を隠した。一晩中姦されても、秀之と愛情に満ちた濃密な口づけを交わす唇だけは、頑なに守り抜いていた。

「けっ、『キスはやめて』ってか? ま、素っ裸も手マンも本番もOKなくせに、キスがNGな風俗嬢もいるしな」

 征四郎は無理強いをせず、身を屈めて、前に突き出るバストへ顔を寄せた。肌身に湿り気を浴びた嫌悪に、両手を上げて退けようとしたが、

「たまんねえオッパイだ。自分で持ってろっ!」

 逆に、首の下に束ねられていたワンピースの裾を持たされた。聴診を受けるように差し出した胸乳へ、唾液に紫がかって照る唇がしゃぶりついてくる。




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