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隷吏たちのるつぼ
第6章  第五章 誨淫の舎



 内ももをぴったりと閉じ合わせ、脚を折って力を集中させても、じっとしていることができなかった。下着の中に、一つひり出してしまった珠の異物感がある。もうこれ以上、脱栓してしまうわけにはいかない。

 凌辱を受けるならまだしも、闇の中で孤独に転がっていると、気の紛れる何事もなく、高波がひとえに下腹を襲ってくる。しかも、波長はだんだんと短かまっていた。

「ハメまくってっ!」

 悶絶するあまり、叫びが悠香梨の耳に届いたのは突然だった。

 征四郎ではなく、女の声。扉が開く。舌足らずに甘えている。ギシリと木材が軋み、頭上から衣擦れが聞こえた。

(そんなっ)

 征四郎は別の誰かを姦している。自分をこんな状態で放置しておきながら。……オクチ。口交を強いる余裕まで見せている。

 肉壺をあんなにかき回してくれた牡茎を、誰かが……別の誰かが貪婪にしゃぶる音を聞かされ、悠香梨は目隠しをしているのに固く瞼を閉じて、無念と焦燥の混ざった呻きが漏れないよう唇を結んでいた。

「智咲、俺のチ×ポ、好きか?」

(……も、本山ちゃん……!?)

 征四郎の口にした名を聞いて愕然とする。普段話している時の清淑さからは考えられなかったが、耳を澄ますと確かに、声の主は智咲に間違いなかった。

「日下さんよりも、気持ちいいですか?」

 懸けまくもかしこみ伺っている。ドサリ、と近くに何か落ちた。ぶつかり合って肌が鳴る。悦びの叫びをあげている。

 智咲は知っていたのだ、すべて。
 征四郎にこうやって穿ち回されながら、自分が穢身へ堕とされていくあいだ、何をされ、何をしてきたか、智咲は何もかも承知していたのだ。昨日、お互いの男を紹介しあって、何事もないように振舞ってみせたときにはもう、すでに……。

「……日下さんっ!」
「ううっ……、あああっ!」

 悠香梨は珠をもう一つ、ショーツの中へと吐き出してしまった。

 ──二人きりの逢瀬を謳歌しているものだとばかり思っていたのに、妬んでやまなかった同期の女が、机の下に隠れていた。

「ど、どうして……」

 智咲が驚懼とも非難ともつかぬ眼差しで振り返ると、征四郎は今までで最も冷虐な笑みを浮かべていた。
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