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隷吏たちのるつぼ
第2章  第一章 醒めゆく悪夢
 しかし、本当かと疑りたくなるが、たとえオフタイムであっても「善良な市民」たちは目を光らせているのだそうだ。
 彼らの大半は、公務員に対してとにかく無闇に注意を払っている。中でもうるさい市民団体の関係者なら、飲酒運転や接待享受は当然のこと、酩酊しての乱痴気騒ぎ、果てはただ飲んでいるだけなのに難癖をつけてきかねない。対応を間違えれば、評判を落とすだけでは済まない、最悪懲戒になることすらある、と。

「ま、身分を晒していいことなんて一つもない、っていう話、あながち嘘でもなさそうなんだよな。ウチの姉貴なんかも俺に対する妬み、スッゲぇもん」

 太一が笑いながら言った。

 ただし、この店の欠点は、女だけで行くとナンパされてうっとうしい。悠香梨の先輩はそうアドバイスした。この見てくれの先輩ですら、なのだから、智咲と自分ならばとんでもない目にあうだろうな、と悠香梨が頭の中で心無い判断を下して、太一がナンパ除け兼運転手として誘われていたのだった。この同期の男のおかげで、時間も酒量も気にせずに飲める。

「学校の先生も、お巡りさんも消防士さんも、みーんな私たちと一緒なのに。きっと先生なんかは、もっと気楽にお酒飲んでると思う」
「んー、センセーとかに比べたら、働いてないように見えんじゃない?」

 肩をすくめてみせた悠香梨が、前にこぼれた長い髪を払ってタバコを咥えると、

「この税金ドロボーってか? タバコ吸っててもイチャモンつけられたりしてな」

 太一は苦笑しながら灰皿を差し出した。

「タバコくらいは許してもらいたいでしょー。吸っちゃいけないとこじゃ、他が吸ってても絶対に吸わないもん」
「っていうか、タバコ買ってるってことは、日下は税金納めてる方だよなあ、むしろ」
「そーそ。地方交付金を支えてんだよ、私。感謝しろよー?」

 笑い合う二人を見て、智咲は一人で長い溜息をついた。そんな達観した気持ちにはなれない。

 智咲の父はまさしく教師だった。
 ただし、私立校。神奈川の名門で校長を務めている。

 子供の時、兄は成績が下がると烈火のごとく叱られていた。しかし自分は、成績表を見てくれていたかすらあやしかった。
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