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閉じ込められた部屋で夫は
第2章 前戯
……ゾッとする。この化け物は狂っているかもしれない……いや、狂ってる。こんなところに閉じ込めて鎖を振るう奴が正常なはずがない。

≪バシャーーーンッ!ガシャーーーンッ!≫

『アヒャッヒャッヒャッヒャッヒャッヒャッヒャッヒャッヒャッヒャッ!』

笑いながら錆びた鎖を振り回している音。何か砕け散る音。言葉が出ないほどの恐怖。暑さによる汗が冷や汗に変わる。

『ヒィッ!……いやァ……あなた……助けてぇ……』

友貴子が涙声で泣き叫ぶ。

「友貴子ぉッ!」

俺も叫び返す。だがその声は届かない。

『……いいか?友貴子。』

唐突に冷静な声で、化け物が友貴子に話しかける。

『私の言うことをよく聞け……さもないと……』

≪ガシャーーーンッ!≫

ガラスが激しく飛び散る音。恐らくは砕け散った何か。錆び付いた鎖で打たれればどうなるのかを暗示する。

友貴子も俺もただただ息を飲む。
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