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閉じ込められた部屋で夫は
第2章 前戯
『返事をしろよ』
化け物が怒りを滲ませた声を出す。
『ひゃ、はいッ!』
『言うことを聞くのか?』
『き、ききッ!聞きますッ!』
友貴子が歯をガチガチと鳴らしながら答える。当たり前だ。知っている限り、友貴子の穏やかな人生でこのような恐怖を受けたことはほとんど無いはず。
……いや、「一回」だけあるのだが。
「ゆ、友貴子ぉ……」
俺は閉じ込められた部屋で何もすることが出来ない。
ただただ慎ましやかに、精一杯の優しさと誠実さを持って生きてきた友貴子。そんな友貴子を幸せにしようと誓ったはずなのに。恐怖に怯える友貴子に夫である俺は、今、何も出来ない。
バンバン!と厚い扉を叩く。
「出せッ!ここから出せよッ!」
痛みで手のひらが熱くなるほど激しく叩いた。しかし、何も起こらなかったし、誰にも届かなかった。
化け物が怒りを滲ませた声を出す。
『ひゃ、はいッ!』
『言うことを聞くのか?』
『き、ききッ!聞きますッ!』
友貴子が歯をガチガチと鳴らしながら答える。当たり前だ。知っている限り、友貴子の穏やかな人生でこのような恐怖を受けたことはほとんど無いはず。
……いや、「一回」だけあるのだが。
「ゆ、友貴子ぉ……」
俺は閉じ込められた部屋で何もすることが出来ない。
ただただ慎ましやかに、精一杯の優しさと誠実さを持って生きてきた友貴子。そんな友貴子を幸せにしようと誓ったはずなのに。恐怖に怯える友貴子に夫である俺は、今、何も出来ない。
バンバン!と厚い扉を叩く。
「出せッ!ここから出せよッ!」
痛みで手のひらが熱くなるほど激しく叩いた。しかし、何も起こらなかったし、誰にも届かなかった。