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私は女優よ!
第4章 釣った魚に餌をやらないから、こうなるのさ

 その夜、私は三宅に抱かれた。


 「ごめんね。
悲しい思いをさせて。
美人受付嬢の環さんと食事出来ただけで満足しちゃってさ……
実は今の会社辞めてね、仲間と事業を始める予定なんだ。
だから、その前に環さんと食事がしたいって。
願いが叶ったなら、これ以上望めないだろ?
この先、どうなるかなんて保障もないのに、環さんを好きだなんて身勝手な事、したくないんだ。
それに、今この腕の中に憧れの環さんが居るのですら、信じられないんだよ」


 「バカ、三宅さんのバカ!
ずっと不安だったんだから!
嫌われたんじゃないかって!」

 「本当にどうなるか分からない未来なんだよ?
新規事業を成功させたいけど、失敗するかもしれないのに、恋も充実させようなんて……
余裕もなかったんだ。
本当にごめん。
小さい男だけど、嫌わないでね。
僕は環さんが……愛しいよ」

 「私もよ」


 時間が戻るなら、この時に戻したいと何度も思った。

 三宅と本格的な恋をして、妻になる前のこの時に。

 運命の分岐点だったのかもしれない。
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