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私は女優よ!
第4章 釣った魚に餌をやらないから、こうなるのさ

 「初めてよ。
こんな話、誰かにしたの。
世間には平気そうな顔をして、奮起する夫婦を演じるの……疲れちゃったわ」

 「環……」

 「弱音すら何処で吐くのかすら忘れていた。
誰かが声を掛けてくれる度に、『大丈夫』と平気そうに答えて、セレブ時代に身につけた気位を表に出して強い女を演じてきた。
もう、その強さすら限界なのかもね」

 「どうしてそこまで我慢し続ける?
そんな必要ないじゃないか?」

 「なら言える?
幸せな美しい人、神に愛され選ばれた女、天に二物以上のものを与えられたリアル女神、三宅環よ!
だけど、今は……
演じるしかないじゃない!
夫にどんな仕打ちをされても、私さえ笑っていたら、私さえ変わらぬ女を演じたら……
世間はね、上っ面しか見ないの。 
登り詰めた人間への一番の侮辱的な言葉って、何だと思う?
平気で可哀想と言って、憐れんだ顔をするのよ!内心ではざまーみろ、調子に乗っているからだって思っているくせに!」

 「……環……でも、環がそこまで堪えなくてもいいじゃないか?
離婚してやり直す事も出来るだろ?」

 「なら、慎吾さんが……
私を選んでくれるの?」

 「……それは……う、あ、……ごめん。環………」  

 「アハハ 冗談よ。
何、困った顔してるのかな?
そんなシリアスな顔しないでよ!」 
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