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私は女優よ!
第6章 見失う心。見えてくる現実

ーー


 演じるとは、そういう事なのだろうか?
それとも、別の誰かになる事で自分の現実を逃避していたって事なのかしら……。
分からないでもない。
あんまりにも過酷な現実ならば、違う自分になる事で逃避してしまいたい気持ちも。


 幼い頃から賢いと期待され、裕福な家に育ち、勉学に励む環境は惜しみなく与えられ、一流大学を首席で卒業し、司法試験にも一発合格。
才女と言われたこの私でさえも………

 誰にだって人には言えない闇がある。
話して楽になるなら、大声を上げて言ってしまいたい事もある。
でも、その先にも希望がないなら、貝のように口を閉ざし、自分の心の奥底に仕舞い込み、モヤモヤした気持ちを表に出さぬよう、すました顔をしてやり過ごすしかないのかもしれない。

 世の中は自分の思い通りに回らない。
ましてや、不道徳を犯した者には明るい未来などは巡らない。

 人間というのは、例え悪の心や闇を持っていたとしても、正しく生きろと窮屈な生活を強いられ、生きていくものなのだから…
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