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私は女優よ!
第8章 演じきってこそ、女優
行為が終わると、寂しい、虚しいという現実で胸が苦しくなった。
でも敢えて私は強い女の顔をする。
変えられない現実を無理に変える勇気もなかった。
「今度会えるのは初公判かな」
「多分ね」
「雅紀さんに公平に裁いて貰わないとね」
「僕はいつも公平さ。
だから一子も全力で向かってきなさい」
『嘘つき……あなたが公平なのは仕事だけ。
私はいつも我慢をしてる。
その姿を見せない、物分りの良い利口な女を演じてるの。
私の心にも悪魔が居る。
あなたの奥さんが不慮の事故で死んでしまって、途方に暮れてしまったあなたに寄り添い、妻の座を奪い取る。
まるで三流小説のシナリオみたいな妄想をもう何度した事か………。
私の妄想で奥さんが死んだりしない。
むしろ図太く生きて、一生あなたに寄り添う確実な立場を得てる………
所詮、魔が差した不倫関係。
いつかは終わる。
けど、そんなくだらない夢を見させるほど本気にさせたあなたが憎いわ。
憎くて愛しい男』
「私はいつも全力よ。
松本判事」