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私は女優よ!
第8章 演じきってこそ、女優
「さすが法曹界のアフロディーテ
頼もしいね。
それに、一子という名前も君にとても良く似合う」
「この名前嫌いだった。
だけど、雅紀さんに呼ばれる事で好きになっていった」
「僕の尊敬する成宮裁判官の娘だけあるさ。
一子の名前は成宮さんが付けたんだろ?」
「そうよ。
何でも一番になれって願いを込めてね」
「その名の通りの女だよ」
『違うわ!一番欲しい、あなたの一番になれない!』
「そんな事ないわよ」
「成宮裁判官が亡くなった時は、僕も辛かった。
まさか、被疑者の家族の逆恨みで刺されてしまうなんて……」
ーー
ー
私の父、成宮英司(なりみやえいじ)は最高裁判所長官まで務めた男だった。
私が今日法曹界のアフロディーテと呼ばれて、注目を浴びる弁護士なら、父は法曹界のゼウスと呼ばれた有能な裁判官だった。
仕事では父を尊敬していたが、何でも完璧主義に熟す性格に息が詰まった。
いつも自信に満ちあふれていて、間違った事を徹底的に嫌い、成宮英司の娘である私は常に良い子の仮面を被り、父の言う通りにしとけば間違いはないと言われるままに教育されてきた。
成宮家の才女と言われ続ける為に……