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第8章 演じきってこそ、女優

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　父は、連続レイプ魔の被告人、田中元春（たなかもとはる）当時５１歳の最高裁の裁判長を務めた。
極めて悪質な手口で、女子高生やＯＬなど８人の女性をレイプし、捕まった男。

　被害者女性の体からは、田中の体液、またはＤＮＡなどが検出され、動かぬ証拠も検察は掴んでいた。
しかも、田中によるレイプ被害者には、まだ１６歳の少女がいた。
その少女はレイプされた事を誰にも打ち明けられずにいた。
悪い事に田中の子を身篭ってしまった。
お腹が大きくなった娘を母親が問いただすと、レイプされていた事をやっと打ち明けた。
もう堕胎するには手遅れの月日が流れていて、その子は苦しみの中で田中の子を産んだ。
皮肉な事に、その子供のＤＮＡ鑑定の結果で田中元春逮捕に踏み切れたのだ。

　産まれた子供は養護施設に引き取られていったという話だ。

　その後、少女は家に引き篭もり、リストカットや自殺を何度も図った。
心も体もボロボロに傷つき、精神に異常をきたして精神病院の入退院を繰り返していた。

　父は田中元春には懲役２０年執行猶予なしの判決を言い渡した。
それに納得が出来なかった田中元春の母親である田中藤子（たなかふじこ）当時７５歳に父は刺されて殺されてしまったのだ。