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ヒロイン三国ファンタジー
第19章 19 山陽公
諸葛亮が第五次北伐のために出陣せんと準備しているころ、魏の司馬懿の元へ山陽公に封ぜられた劉協の死の知らせが届く。
馬を走らせ、北部の山陽県へと弔問に参る。元皇帝陛下の住まいとは思えない質素な屋敷には、やはりわずかしかいない使用人が静かに司馬懿を案内する。
劉協の位牌の前に座り、拝礼をしたのち、霊前に額づく。
「陛下……」
蜀を討伐することは漢室の末裔である劉禅を滅ぼすことになり、漢王朝はまさに滅ぶ。これは己も亡き曹操も、そして劉協の望みであろうかとこれまでの魏国建立までを想う。そこへ「良く参った、司馬懿よ」と声を掛けられ、ハッと振り向いた。
「こ、これは! 魏、魏王――い、いや山陽公夫人」
「よい。間違えるのも無理はない。少し驚かせてやろうと思っていただけだ」
山陽公夫人となった曹節であった。彼女は亡き曹操と同じ扮装で現れ司馬懿を驚かせる。
頭を下げている司馬懿に「楽にせよ」と曹節は声を掛け、しばらく無言で劉協を偲んだ。
馬を走らせ、北部の山陽県へと弔問に参る。元皇帝陛下の住まいとは思えない質素な屋敷には、やはりわずかしかいない使用人が静かに司馬懿を案内する。
劉協の位牌の前に座り、拝礼をしたのち、霊前に額づく。
「陛下……」
蜀を討伐することは漢室の末裔である劉禅を滅ぼすことになり、漢王朝はまさに滅ぶ。これは己も亡き曹操も、そして劉協の望みであろうかとこれまでの魏国建立までを想う。そこへ「良く参った、司馬懿よ」と声を掛けられ、ハッと振り向いた。
「こ、これは! 魏、魏王――い、いや山陽公夫人」
「よい。間違えるのも無理はない。少し驚かせてやろうと思っていただけだ」
山陽公夫人となった曹節であった。彼女は亡き曹操と同じ扮装で現れ司馬懿を驚かせる。
頭を下げている司馬懿に「楽にせよ」と曹節は声を掛け、しばらく無言で劉協を偲んだ。