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ヒロイン三国ファンタジー
第2章 2 群雄割拠
「玄徳殿なら私の言わんとすることが良く理解していただけると思う」
「ええ。はやく姦賊、董卓を討伐し、天子をお救いしたいものです」

国を安んじたいところは共通の想いであるが玄徳の天子を救いたいという希望を聞いたとき、曹操の胸に違和感を覚えた。

「そうですな。あなたは特に漢室の末裔ですからそうお思いでしょう」
共感するふりをするがその実、曹操には全く天子を救いたい気持ちはなかった。ただ漢王朝400年の歴史の重みを無視はできないと考えている。
玄徳の邪気のない清廉潔白な瞳を見ていると曹操は彼女を配下に置くことは難しいと思い始めた。

「玄徳殿は漢王室そのものが衰退しているとは思いませんか?」
「そうですね。確かにそれは紛れもない現実ですが、漢の禄を食み恩恵を得ていたことを臣下が肝に銘じ忠臣となれば漢はまたもとの正しい在り方に戻ると信じています」
「うーむ。やはりまずは漢在りきなのでしょうか。民を安んじるためには」
「そう願いたいものです」

 玄徳は話し合えば会うほど曹操とは相容れないことがわかってきた。彼女とは目的のために個人の欲求など取るに足らないものであるところは非常に共感できたが、合理的すぎる彼女の考え方はどうしても受け入れがたかった。
曹操の方も玄徳の深情けともいえる情に苛立ちを感じる。どうやら二人は似て非なるもののようだ。それでも曹操は彼女と己のみがこの雑多な諸侯らの中で英雄であると知覚する。

 言葉が途切れ始めた頃曹操が「有意義な時間を持てました。これでお暇します」となんら未練がないように立ち去った。
潔く爽やかな曹操の後姿を見送り、玄徳は彼女とは出来るだけ敵対したくないものだと思っていた。
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