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ヒロイン三国ファンタジー
第25章 25 蜀の落日
 諸葛亮の死後、彼の後継者たちが蜀を安定させ、栄えさせようと奮闘するが、国力を上げたい、蒋エン・費イ・董允と魏を倒したい北伐派の姜維の対立により、国は不安定な状態であった。

 劉禅はそれでも間を取り持ち、先帝劉備や、相父、諸葛亮の教えを忠実に守り、また諸葛亮の腹心であった董允による厳しい教育により節度ある治世を敷いていた。
 しかし董允が亡きあと、宦官黄皓が劉禅の寵愛を受け、朝廷に権力を持ち始める。黄皓はまだ諸葛亮の存命中から幼い劉禅の世話役として仕えていた。黄皓は野心を隠し、じっくりと劉禅の心を得ていった。

 次期皇帝という立場であるため、非常に厳しく教育され育てられた劉禅にとって、黄皓の慰めや励ましは心地よいものであった。義理の母である穆皇太后になった(呉氏)も優しかったが、何分控えめすぎる彼女は、劉禅に大きな影響を与えることはなかった。
 劉禅の覚えている母親という存在は、力強く、情の深かった孫尚香がかろうじて残っている。父帝として存在した劉備はやはり父親で、今の彼にとって宦官の黄皓が母親的存在である。

 黄皓が政に口を挟み始めた頃には、董允はもちろんの事、重臣であった費イを魏から下ってきた郭循に殺され、姜維は北伐のさなかにあり、誰も諫めるものがなかった。
 こうして蜀は内部から蝕まれ、快傑も現れず終焉を待つばかりであった。
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