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ヒロイン三国ファンタジー
第26章 26 呉の終焉
陸家の長として陸抗はその責を担い、しかも呉を支えんと多忙な日々を送る。
妻の李氏はその過労が不安でならず、休んで欲しいと願うが、陸抗は穏やかに笑って首を振るだけであった。
孫晧に嫌な顔をされながらも、怖れず意見し、信頼を得る。そんな陸抗を慕うものは数多く、敵国である晋の将軍、羊コでさえその人柄に惚れ込み、親しみを込めた交流がなされていた。
尚香は李氏に陸抗の様子を尋ねる。その昔、魏の司馬懿が、蜀の諸葛亮の様子を聞いて悟ったように、尚香もまた陸抗の寿命が近づいてきていることを悟る。
「すこし、休みなさい。このままでは……」
「いいえ、母上。今、休んでは晋に攻め込まれてしまいます。もう少し、もう少しなのです」
孤独の君主、孫晧により陸遜はしばらく空席だった荊州牧に任命される。
この時が陸抗にとって最も人生で輝かしいときであったが、すでに彼の身体を病魔が巣くっていた。
立派な身体はやつれ、青白くなり、もはや起き上がることが不可能になった。李氏は泣きくれる毎日で子供たちの顔からも笑顔が消える。
最後まで孤独な皇帝、孫晧と、呉の行く末を案じ、しかし李氏を得て幸せであったと告げ、静かに息を引き取った。享年48歳。秋風が吹き始めた頃である。
呉が陸抗を失ったのち、滅亡は必須となる。
晋に寝返った武将、歩闡の反乱を陸抗は討ち破ったが、二度目の反乱、郭馬による広州の乱を鎮圧できる将軍は誰もいなかった。そしてその乱の最中、晋からの攻撃を受け、孫晧は降伏する。
魏から独立して58年、呉王朝は滅亡した。
こうして西暦280年、晋が中国統一を果たす。黄巾の乱により国が乱れ、約100年後であった。
妻の李氏はその過労が不安でならず、休んで欲しいと願うが、陸抗は穏やかに笑って首を振るだけであった。
孫晧に嫌な顔をされながらも、怖れず意見し、信頼を得る。そんな陸抗を慕うものは数多く、敵国である晋の将軍、羊コでさえその人柄に惚れ込み、親しみを込めた交流がなされていた。
尚香は李氏に陸抗の様子を尋ねる。その昔、魏の司馬懿が、蜀の諸葛亮の様子を聞いて悟ったように、尚香もまた陸抗の寿命が近づいてきていることを悟る。
「すこし、休みなさい。このままでは……」
「いいえ、母上。今、休んでは晋に攻め込まれてしまいます。もう少し、もう少しなのです」
孤独の君主、孫晧により陸遜はしばらく空席だった荊州牧に任命される。
この時が陸抗にとって最も人生で輝かしいときであったが、すでに彼の身体を病魔が巣くっていた。
立派な身体はやつれ、青白くなり、もはや起き上がることが不可能になった。李氏は泣きくれる毎日で子供たちの顔からも笑顔が消える。
最後まで孤独な皇帝、孫晧と、呉の行く末を案じ、しかし李氏を得て幸せであったと告げ、静かに息を引き取った。享年48歳。秋風が吹き始めた頃である。
呉が陸抗を失ったのち、滅亡は必須となる。
晋に寝返った武将、歩闡の反乱を陸抗は討ち破ったが、二度目の反乱、郭馬による広州の乱を鎮圧できる将軍は誰もいなかった。そしてその乱の最中、晋からの攻撃を受け、孫晧は降伏する。
魏から独立して58年、呉王朝は滅亡した。
こうして西暦280年、晋が中国統一を果たす。黄巾の乱により国が乱れ、約100年後であった。