この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
ヒロイン三国ファンタジー
第12章 12 大いなる犠牲
玄徳の足を洗う湯を魏延が持ってやってきた。
「我が君、どうぞ履物をお脱ぎになってください」
「おお、魏延、そなたが私の足を洗ってくれるというのか」
「ええ」
魏延文長は玄徳が荊州を得るときに荊州4郡の一つ長沙太守で彼の主君、韓玄を斬り玄徳を入城させた。
主君を裏切る行為に諸葛亮は懸念するが、全ては玄徳のためにという熱烈な玄徳への支持をはねつけることが出来ず、また武力の高さもあり重用している。
玄徳が履物を脱ぎかけたとき、黄忠がやってきた。
「失礼します、我が君。これから調練のため魏延を連れてまいります」
「ああ、そうなのか。忙しいときに。魏延下がってよいぞ」
「うっ、そんな。――わかりました。これにて」
「かわりに軍師殿を寄こしますので」
残念そうな魏延を黄忠は引っ立てるように軍の訓練へ促し出て行く。
玄徳は歳若く息子ほどの年の魏延が、自分の事を女人として欲していることに気が付かなかった。
若い頃であればまだそういう事に気が付いたかもしれないが、もうそのような男女の情交に自分は関わることがないと思っていたからだ。
しかし魏延は元々年増好みで、玄徳が夜な夜な孫夫人に攻めあげられていることも知っていた。孫夫人が江東へ帰り、今が好機とばかりに玄徳に触れんと様子をうかがっている。
そんな魏延の思いに黄忠は気づいており、このように彼が玄徳に近づきすぎないように注意しているのだった。
「魏延よ。主君に対して懸想してはいないだろうな」
「まさか、そ、そこまでは。俺は玄徳様を信奉しているだけだ」
「それならよいが」
「爺様はもう枯れてしまっているから分からないかもしれないが、この想いを押さえるのにどれだけ苦労しているか……」
「まあ、確かに。わしも若ければ……」
「我が君、どうぞ履物をお脱ぎになってください」
「おお、魏延、そなたが私の足を洗ってくれるというのか」
「ええ」
魏延文長は玄徳が荊州を得るときに荊州4郡の一つ長沙太守で彼の主君、韓玄を斬り玄徳を入城させた。
主君を裏切る行為に諸葛亮は懸念するが、全ては玄徳のためにという熱烈な玄徳への支持をはねつけることが出来ず、また武力の高さもあり重用している。
玄徳が履物を脱ぎかけたとき、黄忠がやってきた。
「失礼します、我が君。これから調練のため魏延を連れてまいります」
「ああ、そうなのか。忙しいときに。魏延下がってよいぞ」
「うっ、そんな。――わかりました。これにて」
「かわりに軍師殿を寄こしますので」
残念そうな魏延を黄忠は引っ立てるように軍の訓練へ促し出て行く。
玄徳は歳若く息子ほどの年の魏延が、自分の事を女人として欲していることに気が付かなかった。
若い頃であればまだそういう事に気が付いたかもしれないが、もうそのような男女の情交に自分は関わることがないと思っていたからだ。
しかし魏延は元々年増好みで、玄徳が夜な夜な孫夫人に攻めあげられていることも知っていた。孫夫人が江東へ帰り、今が好機とばかりに玄徳に触れんと様子をうかがっている。
そんな魏延の思いに黄忠は気づいており、このように彼が玄徳に近づきすぎないように注意しているのだった。
「魏延よ。主君に対して懸想してはいないだろうな」
「まさか、そ、そこまでは。俺は玄徳様を信奉しているだけだ」
「それならよいが」
「爺様はもう枯れてしまっているから分からないかもしれないが、この想いを押さえるのにどれだけ苦労しているか……」
「まあ、確かに。わしも若ければ……」