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人魚島
第6章 早坂先生と恋人美沙
おばちゃんと自称するにはまだまだ早い雰囲気だ。
20代前半、女子大生に間違えられても過言では無い愛くるしいルックスだ。
琥珀色の透き通った長い髪の毛に濃い琥珀色の瞳、その瞳が穏やかに僕を見詰めていた。

『ほら、南瓜にカボスや』

咲子がビニール袋を開いて見せる。
立派な黒々とした南瓜に深い緑色のカボス、甘ったるい香りが立ち込めていた。

『やぁ、昼飯は南瓜の天婦羅蕎麦にしようか』

早坂先生が南瓜をしげしげ眺めながら笑う。
幸せ過ぎて死にそうと言った具合の目付きだ。
美沙さんも美沙さんでカボス片手に愛しの"てっつん"を眺めている。
二人は愛し合っているのだ。
それも深く…深く…。

『やぁ、ジンカボス作ってみようか』

早坂先生がジンを戸棚から出して美沙さんに見せた。

『この子等はカボスジュースで良いんちゃう?』

『当たり前だよ、未成年者に飲酒なんかさせれ無いからね』

『せやね』

『じゃあ、ちょっと作ってみるから美沙は咲子と春樹くんと話してなよ?』

台所に消えて行く早坂先生。

『私は松下美沙』

ニッコリ微笑みながら美沙さんが名乗る。

『僕は篠山春樹です』

『うちは魚沼咲子』

とりあえず自己紹介が済んだ。
開口一番咲子が『なんであんなにゆっくりなエッチなんや?気持ち良い?』と無遠慮に訊ねる。

『ん?激しいのもうちは好きやけど、早坂年やしスローセックスのが良いねん、やし、早坂がすぐにイカん様にする苦肉の策でもあるし、スローセックスは深い愛情確認出来るんやで?アンタ等した事無いやろ?あらかた盛り過ぎて早いセックスばっかりやろ?』

ニシシッと八重歯を見せながら美沙さんは饒舌に続けた。

『スローセックスは体力使わんさかいに相手を労る事が可能や、やし、長く気持ち良くなれるさかいに、今度ヤッてみてや?気持ちええよ?』

『ハルキヤッてみる?』

『問題はにぃちゃんが理性もつかやな』

ケントに火を付けながら再び美沙さんが続ける。

『早く出したくて激しいピストン運動したらもともこも無いで?』

『ハルキなら頑張れるわな?』

僕の顔を覗き込みニコニコする咲子。

『咲子ちゃんと春樹くんは彼氏彼女なん?』

美沙さんがケントを燻らせながら笑う。

『まだ付き合ってへん』

『なんで?』

『ハルキが告白してくる迄待っとんねやわ』

『何まだなん?』
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