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人魚島
第6章 早坂先生と恋人美沙
『あん?たいした風邪じゃねぇよ、鼻風邪だ』
鼻をグスグス鳴らしながら橘さんが赤丸を燻らせる。
『熱は?』
『あん?だから鼻風邪だ、熱なんかねぇよ』
どうやら熱は無いらしい。
僕は一安心しながらシンクにたまった洗い物をバシャバシャ洗い始めた。
『坊主、歩いて来たんか?』
無表情で煙草の煙を吐き出しながら橘さんが訊ねる。
『いえ、自転車で来ました』
『場所はあらかた三咲から聞いたのか?』
『地図見ながら来ました』
僕はジーンズに無造作に捩じ込んだ地図を橘さんに見せた。
『はッ!そうか、ご苦労様なこった』
洗い物をあらかた片付け、たまったゴミ袋をアパート前の共同ゴミ捨て場に捨てた。
魚の生ゴミが混ざっているのか、いたく臭い。
カラスや野良猫が狙っていたので防犯ネットを被せた。
そして橘さんのアパートの台所にて南瓜を出刃包丁でカットし、油を入れたフライパンに沈めた。
パチパチと上がる油の音。
それに釣られたのか赤丸を咥え煙草しながら橘さんがやって来た。
『坊主、料理出来ちまうんやな?』
『はい、人並みですけどね』
『そりゃ良いや、俺も学生時代時代にゃ飲食店でアルバイトしてたからよ、フレンチフルコースだとか作れちまう』
パチパチと鳴る中、橘さんが頷く。
『へぇ、凄いですね』
『良く三咲や咲子や花子や早坂先生に手料理作るんだ、三咲の奴は日の丸弁当しか作れねぇからな』
『出来ました』
うどんを水切りし、出汁に絡めて胡麻を浮かべて揚げた天婦羅の南瓜を乗せれば完成だ。
鰹節の良い香りがする。
『お?出来たけ?早いな春樹』
ニヤニヤしながら橘さんがパキッと使い捨て割り箸を割いた。
『どうぞ召し上がって下さい』
『天婦羅が美味そうだ』
早速ホクホク顔で天婦羅をつつく橘さん。
ズルズルッと啜る。
『ん、美味いよ』
『それは良かったです』
男同士、何やら遠慮の無い時間が過ぎて行く。
『三咲は相変わらず明さんとセックス三昧か?』
不意に使い捨て割り箸を置いて橘さんが訊ねた。
『いえ、ヤッて無いですよ』
『そうか』
神妙な面持ちで赤丸を燻らせる橘さんに掛ける言葉が見当たらない。
橘さんは『泣きそうだ』と笑いながら僕の作ったうどんを啜った。
『あぁん、畜生、三咲とセックスしてぇな、今夜夜這いすっかな』
『明さんにバレますよ?』
鼻をグスグス鳴らしながら橘さんが赤丸を燻らせる。
『熱は?』
『あん?だから鼻風邪だ、熱なんかねぇよ』
どうやら熱は無いらしい。
僕は一安心しながらシンクにたまった洗い物をバシャバシャ洗い始めた。
『坊主、歩いて来たんか?』
無表情で煙草の煙を吐き出しながら橘さんが訊ねる。
『いえ、自転車で来ました』
『場所はあらかた三咲から聞いたのか?』
『地図見ながら来ました』
僕はジーンズに無造作に捩じ込んだ地図を橘さんに見せた。
『はッ!そうか、ご苦労様なこった』
洗い物をあらかた片付け、たまったゴミ袋をアパート前の共同ゴミ捨て場に捨てた。
魚の生ゴミが混ざっているのか、いたく臭い。
カラスや野良猫が狙っていたので防犯ネットを被せた。
そして橘さんのアパートの台所にて南瓜を出刃包丁でカットし、油を入れたフライパンに沈めた。
パチパチと上がる油の音。
それに釣られたのか赤丸を咥え煙草しながら橘さんがやって来た。
『坊主、料理出来ちまうんやな?』
『はい、人並みですけどね』
『そりゃ良いや、俺も学生時代時代にゃ飲食店でアルバイトしてたからよ、フレンチフルコースだとか作れちまう』
パチパチと鳴る中、橘さんが頷く。
『へぇ、凄いですね』
『良く三咲や咲子や花子や早坂先生に手料理作るんだ、三咲の奴は日の丸弁当しか作れねぇからな』
『出来ました』
うどんを水切りし、出汁に絡めて胡麻を浮かべて揚げた天婦羅の南瓜を乗せれば完成だ。
鰹節の良い香りがする。
『お?出来たけ?早いな春樹』
ニヤニヤしながら橘さんがパキッと使い捨て割り箸を割いた。
『どうぞ召し上がって下さい』
『天婦羅が美味そうだ』
早速ホクホク顔で天婦羅をつつく橘さん。
ズルズルッと啜る。
『ん、美味いよ』
『それは良かったです』
男同士、何やら遠慮の無い時間が過ぎて行く。
『三咲は相変わらず明さんとセックス三昧か?』
不意に使い捨て割り箸を置いて橘さんが訊ねた。
『いえ、ヤッて無いですよ』
『そうか』
神妙な面持ちで赤丸を燻らせる橘さんに掛ける言葉が見当たらない。
橘さんは『泣きそうだ』と笑いながら僕の作ったうどんを啜った。
『あぁん、畜生、三咲とセックスしてぇな、今夜夜這いすっかな』
『明さんにバレますよ?』