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人魚島
第8章 能力
『毎度こうなんすよね』やれやれとクマだらけの目蓋を擦りながら歪んだUNIQLOのネクタイを巻き、簡素な洗面台でジョリジョリと顎に生えた生々しい髭を剃る僕に『遠距離恋愛っつってたっけ?』とニヤニヤする。

『はぁ、まぁ、先日無理矢理会いに行けばゆっくり観光させてくれ無いし、セックスし様にも花子は生理だし…何も出来無いまま東京に帰って来ましたよ、今月僕の誕生日なのに、忘れてるでしょうね』

『ハハハ…なら今夜キャバクラ行くか?上野にクイーンって良い感じのキャバクラあるんだよ、奢ってやるよ?』

『いや、どうせ残業すから』

次第に朝礼の時間になる。
『つまり成績とは常に~』と相変わらず同じ事を毎朝述べる課長にウンザリした時だった。
花子が勝手に着信音に設定した一曲108円だなんて馬鹿高いauの浦島太郎の海の声が朝礼中流れた。
僕のスマートホンだ。
胸元のポケットでブルブル震えている。
『誰だね?』課長がジロリと僕等を睨んだ。
僕はやり過ごしたくて素知らぬ振りをしたが、課長が近付きながら『篠山くんかな?』とバリトンボイスを響かせた。
坂本先輩に助けを求め様と目配せしたが、生憎無惨に無視された。
『出なさい』響くバリトンボイス。
僕は冷や汗をかきながら静かに着信に応じた。

『おはよう、ハルくん』

『ああ、やぁ、おはよう』

『ハルくん、ハルくん、早く会いたいよ』

課長が顎を突き出し『続けろ』と訴えて来るので仕方無く『今朝礼中だよ』と冷や汗をかきながら花子に伝える。

『朝礼?関係無いよ、あたしの事愛してるんやろ?』

課長が『ハンズフリーにしろ』とパワハラを仕掛けて来る。
僕は『それだけは勘弁して下さい』と涙ながらに訴えたが、課長は許さ無い。

『頼むから余計な事言うなよ?』

ハンズフリーにすれば、静まり返った朝礼に花子の鼻息迄も響き渡った。

『どないしたん?後、着信鳴ったらすぐ出てや?うちかてそない暇ちゃうけん』

クスクスと冷笑が朝礼の会議室に響く。

『なんよ?なんで何も言わんのや?愛してる位囁いてや?昔はアホみたいに言ってくれたやん?』

ああ、花子の奴、こんなに頭の悪い女だったのか。

『解ったよ、愛してるよ、ほら、朝礼なんだよ、また弁当の時間に描けるから、掛けて来ないで?』

会社のマドンナ広瀬さんがニヤニヤ僕を見詰めていた。
5歳上の先輩社員だ。
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