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人魚島
第8章 能力
潜りながら花子の亡骸を深い瀬戸内の中に解放した。
花子は渦を巻きながら沈んで行き、僕は陸上で手錠を掛けられた。
交番の克己さんがやって来て『坊主、久しぶりやな、まさかこんな再会になるとはな』と苦笑いしながら敬礼する。
咲子、明さん、三咲さん、橘さん、蓮さん、ミケさんが見詰める中僕は海上警察の船に連行された。
途端僕は壊れた。
ヨダレを垂らしながら『は、花子ぉ…』と空中を両手で掻いた。
花子とは死んだ花子だ。
殺した花子では無い。
いや、自殺に追い込んだのはこの僕だ。
いずれの花子も僕が殺した事になる。
すぐさま精神鑑定が入り僕は心身衰弱で無罪になった。
しかし、この状態では社会復帰は無理だと赤羽の施設に入れられた。
面会に恵麻がやって来てなんとか理解出来た。
車椅子で尿道にカテーテルを通され無理矢理排尿する僕に『やり直しましょう、アンタの過去を話して?』と冷える冬空の下告げられた。
僕は洗いざらい全てを話して打ち明けた。
人魚島や花子や呪いの話を。
恵麻はすぐさま信じてくれて静かに花子の水死体は見つから無かったと話した。
僕達は抱き合いながら2年の歳月を経て施設から出て再婚した。
僕は23歳になろうとしていた。
やがてまた再び恵麻が孕んだが今度は顔のある可愛い女の子だった。
僕は食肉加工会社でパートしながら家計を支えた。
恵麻は夜な夜なホステスとして六本木で晩酌に明け暮れた。
晩酌は朝方6時迄続く事もあり、次第に恵麻は肝臓を患い入退院を繰り返した。
愛する妻が僅か31歳で亡くなろうとする瞬間、僕は再びウオトと対面していた。
ウオトは文献を読みながら『つまりは』と始めた。

『どうやら君と花子はワンセットで初めて幸せになるらしい』

長い黒髪の毛先を弄びながら雌のウオトは更に続けた。

『だから頼むから花子の側に居なさい』

『解りました。それが僕の幸せにも繋がるんですね?』

『そうだよ春樹くん、行こうか、晩御飯食おう』

途端弾けウオトが眼鏡を掛けた雄の姿になる。

『もうそんな時間なの?』

『随分寝ていたからね』

『時間を越えてる間も時間は経過するの?』

『微妙に変化はあるけど、数時間の誤差だよ?ほら、送るよ、僕も着替えて姫蛍捕まえに行くよ』

ウオトがフォルツァを運転しながら僕を魚沼家に送り『また後で』と帰って行く。
花子が玄関先にやって来た。
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