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人魚島
第8章 能力
『やぁ』微笑みながら蛍光灯の下花子を抱き締める。
パンテーンの香りがした。
花子が『ハルくんは長い旅に出てたんだね』と頬を寄せる。
僕は『必ず幸せにするからね』と抱き締め続けた。
そして互いに布団の中に潜り込み話をした。

『ハルくん不良会社員だったんだね、あたしが居ながら浮気してさ』

『だってあの花子は耐えられ無かったんだもの』

クスクス笑いながら花子が蛍光灯を消す。
捕まえて来たばかりの姫蛍が淡く輝き放し飼いにされる。
漂うそれを眺めていれば愛しさが益々込み上げグイッと花子を抱き締めた。

『最終的にはどうなりたいの?』

『花子に顔があって僕と幸せに結婚する事が夢かな、いや、夢じゃ無い、それを叶えるんだ』

『ハルくんとあたしが結婚かぁ』

『そうだよ、嫌?』

『まさか』

姫蛍の淡い輝きの中、花子がフンワリ微笑む。

『あたしもハルくん好きやけん、結婚したい』

『必ずしよう』

そして僕等は微睡んで行った。
翌朝渡島1週間目、相変わらず誠さん春香さんはパーラー末次に入り浸りで朝から居無い。
僕は6時に起床して朝風呂に入り明さん、三咲さん、咲子、宗一さん、静枝さん、それから愛する花子の7人で朝御飯を食べる。
働き者の花子が作ってくれた南瓜の天婦羅と村で採れた野菜のシーザーサラダと白米と納豆だ。
西日が眩しい中、自然と花子の隣に座ってしまう。
目敏く明さんが『なんや、鞍替えしよったか?咲子に飽きたんか?』と笑う。
僕はなんとなく曖昧な笑みを浮かべながら『いや…』と誤魔化しながらも卓袱台の下ではしっかり花子と手を繋いでいた。
これを食べたらウオトの所に行って能力の使い方を詳しく聞こう。
僕は朝御飯も程々に『花子、ちょっと付き合ってよ』と民宿春魚を目指す事にした。
自転車は咲子が貸してくれた。
『退屈やけんパーラー行くよ』と苦笑いする咲子の目は夜中泣き腫らしたのかパンパンに浮腫み腫れ上がっていた。
ひしゃげた自転車に股がり後ろに花子を乗せて民宿街を目指す。
すぐさまいりくんだ民宿街に出て来れた。
時間は15分程だった。
全力で立ちこぎしたのが功を成したらしい。
軒先で相変わらずウオトがニャーと群がる猫相手に鰹節を振る舞っていた。

『やぁ、おはよう』

『おはよう、ウオト』

僕等に気付き振り返るウオト、なんだか朝から相変わらず美しく爽やかだ。
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