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人魚島
第8章 能力

『どうしたの?』
ウオトがフンワリ微笑みながら野良猫を抱き上げる。
酷くなついているのか、野良猫は動じずウオトの腕の中だ。
『ウオト、時間ある?』
『今から朝飯休憩やけん、浜辺で喋ろうか?今日は観光客も多いよ、賑わってる、島が潤うよ、感謝せんとね』
鰹節をパラッと撒き散らし野良猫を地面に置きながら相変わらずの甚平姿で『花子には話したん?』と小さな弁当箱を地下のあてがわれた部屋から持って来るウオト。
『話しました』
『なら説明は不要やな、まぁ、良いや神とは言え腹は空くんだ、何せ生粋の人間の肉体やからね、慣れ無いや、この姿』
笑いながら近くの海岸に行き、適当な場所に胡座をかくウオト。
僕と花子もウオトの隣に座り込んだ。
『じゃあんッ!賄い弁当やで、美味そうやろ?海老がプリプリや』
色とりどりな弁当にはイカや鮪、鯡や海老が大量に詰められ白米には梅干しが添えられている。
ウオトは水筒の麦茶を飲みながら『頂きます』と箸でイカをつつく。
『ん、美味いよ』
『なぁ、ウオト?』
『何?』
『家族の話は、あれは作り話だったの?』
『家族の話?』
『ほら、お母さんは奇病でお父さんは癌って』
『ああ、あれか、本当や?僕は神だけど一度死んでるし、だからほら祠に僕のミイラがある訳だし』
『やはりあのミイラは本物なの?』
『うん、僕釣り上げられたんだよ』
『どう言う意味?』
ウオトが咀嚼している間は否応無しに沈黙になる。
ウオトがゴクッと飲み込みようやく話が進む。
『慎三さん、いるでしょ?』
慎三さん、花子の曾祖父か。
『慎三さんに釣り上げられたの、僕』
『………?』
『ある日の早朝やったよ、真冬やったかな?深海で眠っていたら、網に掛かってしもたんだよ、勿論慎三さんは鼻から人魚を釣り上げる気は更々無くて定置網を巻いただけやったよ、まんまと僕がその中で眠ってしまった訳だ。慎三さんは29歳、子供は4人居たよ。その内の一人がほら、魚沼家の宗一さんだよ』
『で?釣り上げられてどうしたの?』
『僕は独りでやって来た慎三さんに助けを求めた。食われると考えたからやけど』
梅干しをつつきながらウオトが訊ねた。
『ねぇ、知ってる?人魚の肉食ったらどないなるか、知ってるか?』
『え?』
そこでウオトは珍しくニヤリと笑いながら箸を置いて語り出した。
ウオトがフンワリ微笑みながら野良猫を抱き上げる。
酷くなついているのか、野良猫は動じずウオトの腕の中だ。
『ウオト、時間ある?』
『今から朝飯休憩やけん、浜辺で喋ろうか?今日は観光客も多いよ、賑わってる、島が潤うよ、感謝せんとね』
鰹節をパラッと撒き散らし野良猫を地面に置きながら相変わらずの甚平姿で『花子には話したん?』と小さな弁当箱を地下のあてがわれた部屋から持って来るウオト。
『話しました』
『なら説明は不要やな、まぁ、良いや神とは言え腹は空くんだ、何せ生粋の人間の肉体やからね、慣れ無いや、この姿』
笑いながら近くの海岸に行き、適当な場所に胡座をかくウオト。
僕と花子もウオトの隣に座り込んだ。
『じゃあんッ!賄い弁当やで、美味そうやろ?海老がプリプリや』
色とりどりな弁当にはイカや鮪、鯡や海老が大量に詰められ白米には梅干しが添えられている。
ウオトは水筒の麦茶を飲みながら『頂きます』と箸でイカをつつく。
『ん、美味いよ』
『なぁ、ウオト?』
『何?』
『家族の話は、あれは作り話だったの?』
『家族の話?』
『ほら、お母さんは奇病でお父さんは癌って』
『ああ、あれか、本当や?僕は神だけど一度死んでるし、だからほら祠に僕のミイラがある訳だし』
『やはりあのミイラは本物なの?』
『うん、僕釣り上げられたんだよ』
『どう言う意味?』
ウオトが咀嚼している間は否応無しに沈黙になる。
ウオトがゴクッと飲み込みようやく話が進む。
『慎三さん、いるでしょ?』
慎三さん、花子の曾祖父か。
『慎三さんに釣り上げられたの、僕』
『………?』
『ある日の早朝やったよ、真冬やったかな?深海で眠っていたら、網に掛かってしもたんだよ、勿論慎三さんは鼻から人魚を釣り上げる気は更々無くて定置網を巻いただけやったよ、まんまと僕がその中で眠ってしまった訳だ。慎三さんは29歳、子供は4人居たよ。その内の一人がほら、魚沼家の宗一さんだよ』
『で?釣り上げられてどうしたの?』
『僕は独りでやって来た慎三さんに助けを求めた。食われると考えたからやけど』
梅干しをつつきながらウオトが訊ねた。
『ねぇ、知ってる?人魚の肉食ったらどないなるか、知ってるか?』
『え?』
そこでウオトは珍しくニヤリと笑いながら箸を置いて語り出した。

